わたしは摂食障害(拒食症)の経験があります。
今では、わたしの中での病気の位置づけがすっかり変わってきたことを綴ります。
わたしは摂食障害を経験していますが、症状の波はかなり小さいと言え、客観的には比較的穏やかな病状でした。
それでも「比較的」なので、わたしの人生の中では一番辛い時期ですし、心の中が常にざわつく闇の経験です。
それと比べると現在は心が落ち着いています。
心情に伴って身体的な健康も取り戻しつつあり、病気の捉え方も変わってきた、というお話をしたいと思います。
ここで紹介するのは、「どのように病気を脱するのか」ではなく、「いつの間にか改善していった結果、現在どのように病気を捉えているのか」という点であることをご理解ください。
まず、今現在 摂食障害(拒食症)であるのか、についてです。
結論から言うと、曖昧にはなりますが 治ったわけではない、と思っています。
他者から「元気になって、治ってよかったねぇ」と言われると、強烈な違和感を持ちます。
確かにしっかり食事は採るし、食べ物を口に運ぶ行為には恐怖を抱かなくなってきました。
それでもスタイルがよくなりたいと願い、会食はできるだけ避けたいと思います。太ってきたなぁと実感して焦ることもしばしばあります。
それらの感情が、摂食障害によるものだという認識があるのです。
摂食障害でない人ももつ感情であることはわかっていますが、その区別ができなくて、摂食障害の延長線上にあるものだと感じています。
ただ、医学的に考えると、体重が戻ってきたことで もう拒食症と診断されることはないでしょう。
では、いま摂食障害に苦しんでいるのか というと、そうではありません。
すごく楽に暮らしていて、摂食障害真っ只中とは比べものになりません。
最も症状に苦しんでいたときは、わたしの人生が乗っ取られてしまったような感覚で、摂食障害を「負っている」という表現がしっくりきていました。
生活の全てが摂食障害によって動かされ、心の中にも自由がない感じ。
でもいまは、摂食障害を「持っている」。
暮らしの大半は摂食障害を思い出さずに済み、何かにワクワクしたりときめいたりすることができます。
それでもふとした瞬間に摂食障害がよぎりますが、ただ「持っている」だけなのでそれだけに振り回されることはあまりありません。
きっといまのわたしと同じような状態で「私は治った」と言っている方も多いんだろうな、と思います。
そう思えているのならそれでよくて、捉え方は人それぞれです。
だけどわたしが自信を持って治りました、と言えるのはまだまだ先になりそうです。
どうなったらそう言えるのか、それは全くわかりません。
もしかしたらというか、かなり高い確率でこの感覚を持ったまま人生が終わっていくんだろうと受け止めています。
このように書いていると、すごく順調に改善した例なんだろうと思われるかもしれません。
正直それは否定できませんが、闇の時代には改善できると信じることもできませんでした。
だから今苦しむ人には「きっとよくなる」とか、「これを乗り越えればこれ以上辛いことはない」とか、わたしには絶対に言えません。
毎日が辛くて苦しいよね。改善した人の話なんて参考にならないよね。と思ってはいるけど、わたしができることを自分のペースでつぶやいてみています。
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